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船形コロニー解体宣言 |
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私たちは、障害者福祉について、色々な機会に障害を持つ人たちのノーマライゼーションをどう進めていくかということを口にはいたします。しかし、私たちが運営する施設に入所しているみなさん達の生活は、非常に劣悪な状態にあると思います。まさに刑務所並とさえ指摘をされる建物の中で、大部分の人は20年を越える長い年月、本人の願いや思い、希望、そういうものと違った生活を強いられておられるのではないだろうか、という思いがいたします。
障害者ご本人のことより、我々施設の役職員、あるいは行政関係者、家族や地域の人々の考え方、そういうものを優先させてきたのではないかと思います。ご本人たちが発する、さまざまなシグナル、さまざまな行動などの中から本人の願いを聞き取ることができずに、そういうシグナルを無視してきたのではないだろうか。「自分たちがしていることはいいことだ。入所しているみなさん達にとってとてもいい事をしているんだ。」という具合に、私どもは思いこんできたのではないだろうか、という気がいたします。
しかし実は、施設職員の中には、自分が今、施設で毎日やっている仕事は本当に入所しておられるみなさん達のためになることなんだろうか、本人達の幸せに繋がっていくことなんだろうか、ということにふと疑問を持ち、じっと周りを見渡すと、どうもそうではないんじゃないかと気づいてきた人達がだいぶ出てきたような気がいたします。不幸の淵に沈んでいくような生活をむしろ進めてしまっている専門職といわれた自分達のこの姿に気づいてきた職員が、だんだん増えてきた気がします。
この仕事についた時の原点に戻ってみて、もう一度我々が、こういう仕事がしたい、障害を持つ人達とともに歩みたいと考えたとき、今施設を利用しているみなさん達の生活を見渡した時に、思わず「これは間違ってしまったのではないか。申し訳ない。ごめんなさい。」という言葉が出てしまうような状況に施設はなってしまっているのではないか。私どもは今、そういう自分達がやってきたことに対して反省し、そしてもう一度自分達が福祉の専門家としての誇りを取り戻して、毎日の仕事がしたい。誇りを持ってできる仕事に転身していきたいという新たな決意を基に、私は宮城県の船形コロニーを解体したいと思っております。宮城県福祉事業団は2010年までに、船形コロニーを解体し、485名の現在入所して生活しておられるみなさん全員を地域生活に移行させていきたいと考えています。そういう移行のプランを作成することを今回決定いたしました。
この地域移行のプラン作りにあたって、特に留意すべき点は3つあります。この3点にしっかり留意して、移行を叶えたいと思っています。
まず第1点は、現在の船形コロニーでの生活より更に安心と満足感が得られる幸福な生活ができる環境を整えるということ。施設から出れば、それで幸せになれるわけではありません。より幸せに、より豊に、より安心して生活できる環境をきっちり整えながら移行を進めていきたいということであります。
第2点は、地域に移行した場合、親・家族などに保護や支援の責任を押しつけることがあってはならないと思っております。我々事業団が責任をもってアフターフォローを行っていきたいと思っています。なぜならば、親・家族は子供を施設にまさに入所させたその時が、実は一番保護能力や支援能力が高い時であり、年々子供が年をとると同じように親・家族も年をとってまいります。そして、一日一日保護能力は落ちていくのが家族であります。その家族に頼って地域移行しても決して安心できるような支援が得られるとは考えられないからであります。保護者や家族の不安を取り除くために、しっかりした地域での支援の仕組を作り上げる必要があると考えております。
3番目に、地域生活の支援の実務は、民間の社会福祉法人あるいはNPOとかの団体、市町村の社協など、福祉サービスの事業者のみなさま方の力を結集して、できる限り故郷に近いところで実施をしていきたいと考えております。長年、生まれ育った故郷から遠く離れて船形コロニーで生活し、本当に辛い思いをされただろうと思います。そういうみなさん達に心からお詫びを申し上げて、船形コロニーの解体を宣言したいと思います。
こうやって私どもが、まずこの宣言をして、そしてそこから新たなプログラムをみんなの知恵を集めて、障害を持つ人達の本当の幸せのためのプログラムを作っていきたいと思っております。 |
(平成14年11月23日「第2回福祉セミナーinみやぎ」理事長あいさつより)
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