宮城県地域共生社会推進会議では、宮城県内の困りごとを抱えた高齢者・障害・子ども等の分野を超えた支援や地域住民の支え合い活動及び自治体・社協・福祉関係団体、NPO、企業などの連携事例を調査し、活動内容などについて情報発信を行っています。
今回は大崎市古川の清滝地区で地域力を育む取組を行っている清滝地区公民館の職員の皆さんに取材してきましたので、御紹介します。
インタビュー:清滝地区公民館 職員の皆さん
※写真左から館長 猪股氏、生涯学習主任 相原氏、生涯学習推進員 佐々木氏
-主な取組内容を教えてください。
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大崎市古川の清滝地区には令和2年まで大崎市立清滝小学校があり、平成26年から令和2年までの7年間、小学3・4年生を対象にした「こども防災教室」や「防災デイキャンプ」を開催する等、清滝地区公民館と清滝小学校は関係機関や地域住民の協力をもらいながら、地域のつながりや防災意識等を高める地域力を育む取組を行ってきました。しかし、大崎市清滝小学校の統廃合(令和3年3月31日)により地区から小学校がなくなったことに加え、新型コロナウイルスの流行によって、これらの取組を行うことができなくなってしまいました。
-コロナ後の取組を具体的に教えてください。
※写真はハンディキャップ体験
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コロナ禍によって、小学校とのつながりはなくなってしまいましたが、大崎市社会福祉協議会の協力もあり、清滝地区公民館から約7キロ離れた古川北小学校のハンディキャップ体験会に公民館職員が参加することができ、再び小学校との関わりができました。また、住民や関係者から「地域の防災力を高める取組を行いたい」「地域の運動会に人が集まらなくなったが続けていきたい」などの声が聞かれたため、それらを組み合わせた防災運動会を始めました。防災運動会は「地域のことは地域のみんなで助け合う」ことを目的に、地区内の安否確認が迅速・確実にできるように備えるもので、黄色や白のタオルを用いた安否確認を行い、実際に旧清滝小学校に避難してきてもらった住民と防災・防犯○×クイズやタンカリレーなどの競技を通じて、顔の見える関係を作り、地域の防災力を高めています。
-この取組にはどのような方が参加されていますか?
防災訓練の参加者は地域の高齢者が多い反面、防災運動会は30代~50代が中心となっており、他にも中高大学生のボランティアを募集するなど様々な世代が参加されています。また、学生のボランティアは小さい頃から地域の防災訓練などに関わってくれていた子が多いため、子どもの頃から地域の活動に触れることが大切だと思っています。他にも清滝地区内の被害箇所を調査する消防分団や備蓄品を活用した炊き出しに女性防火クラブの方々、地区内の子どもの安否情報の共有を古川北小・中学校に行うなど、地域の関係者との連携を図っています。
この取組を通じて、地域住民や様々な関係者が地域の防災に触れることで、災害時に区長などのリーダーになる人がいなくても、地域のリーダーとして動ける人材や自身の役割を見つけてくれる人が増えることが、地域の力になると思っています。
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▲ 防災運動会の様子(あつまれちびっこ) ▲ 防災運動会の様子(タンカリレー)
-他に取り組まれているものがあれば教えてください。
年に1回各地区で会食やお茶会を通じた地域住民が集まる「ルンルン俱楽部」を行っています。公民館に集まるのではなく、各地区の集会所で行うことで、車などの交通手段がなくても集まりやすい配慮をしています。コロナ禍によって地域のつながりが希薄化した住民同士が顔を合わせる良い機会になっており、地域の様々な声を聞く中で気になる人の情報があった際は、必要に応じて関係機関につなぐようにしています。
他にも、かつて社協と連携して行った「こどもぼうさい教室」の経験を生かし、防災ビンゴや防災グッズ作り、サバイバル飯作りなどをチャレンジデーの機会をとらえて、今の子ども達にも伝える活動を行っています。
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▲ルンルン俱楽部の様子 ▲チャレンジデーの様子(防災すごろく)
-今後の展望を教えてください。
どの取組も自分達だけで行っているものではなく、地域住民や関係者の協力があってできているものだと思っています。元々、清滝地区は住民同士のつながりが深く、良いものはすぐに受け入れてくれるなどの地域特性があり、結束力がある地域だと思います。これからも目の前の困っている人、一人一人を大事にし、できることを皆で行い、できないことは他の力を借りながら続けていくことが大切だと思うので、住民の声を聞きながら、今後も続けていけるように頑張っていきたいと思います。
<取材を終えて>
今回、大崎市古川の清滝地区で地域力を育む取組を行っている清滝地区公民館について、御紹介しました。公民館は子どもから高齢者まで幅広い年代が学ぶことができる場であり、行政や社協、地域の住民団体や学校など様々な機関と関わりを持っていることが特徴です。清滝地区公民館は、地域住民の声を聞き、関係機関と連携しながら様々な取組を行っており、地域の顔の見える関係を作るきっかけを創出しています。県内には237箇所(令和6年5月現在)の公民館があり、その地域の特徴を生かした取組を行っているところが多いと思われるので、自身の地域にある公民館ではどのような取組が行われているのか是非調べてみてほしいと思います。
これからも各地域で行われている取組について、情報を発信していきます。
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