宮城県地域共生社会推進会議では、宮城県内の困りごとを抱えた高齢者・障害・子ども等の分野を超えた支援や地域住民の支え合い活動及び自治体・社協・福祉関係団体、NPO、企業などの連携事例を調査し、活動内容などについて情報発信を行っています。
今回は白石市の斎川地区で公民館の機能をフル活用した持続可能なまちづくりを行っている斎川公民館の事務長である佐藤氏に取材してきましたので、御紹介します。
インタビュー:白石市斎川公民館 佐藤 幸枝 氏
平成17年に斎川まちづくり協議会が斎川公民館の指定管理者として管理・運営を開始し、放課後子ども教室事業や各種公民館事業を行ってきました。平成30年に白石市立斎川小学校が閉校することになり、これまで何となく感じていた地域の衰退に対する危機感が急激に強まりました。そこで、地域の課題を探りその解決のため、住民と共に学び、考え実現するための「きらり斎川笑アップ塾」をスタートし、その後斎川地区に住む中学生以上の全住民にアンケートを実施しました。アンケートでは、地域住民が感じている地域活動に対する考えや日頃感じている地域課題について調査し、地域の現状を知ることができました。また、アンケートの結果から「女性や若者の声を反映する必要性」について、地域全体で約6割が必要だとの回答が出ていたことから、29歳以下を集めたU-29若者会議と49歳以下のU-49若者会議を開催しました。会議を通じて参加した若い世代自身も地域の現状を知ることができ、その後の様々な取組を発展させることにつながっています。
-若い世代を集めた会議を行う際、工夫した点などがあれば教えてください。
若い世代に会議へ参加してもらうためには、どのような場を設ければよいのかが大切だと思い、はじめに保護者に相談して定期テスト明けの週末の夜に日時を設定し、近所で協力して送迎をしてもらうなどのお願いをしました。また、地域のキーマンであり、日頃からつながりのある地域住民に相談し、声掛けをお願いしました。若者会議では、「地域活動はそもそもなんなのか」「普段の会議の場では意見が言いづらい」「広報・回覧板は見ていない」などの意見が聞かれた反面、「地域の行事は楽しい」「ただ言われたことを手伝うだけではなく、イベントの企画から任せて欲しい」などの前向きな意見も聞かれ、その後の取組に生かすことができました。
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-具体的な取組について、教えてください。
令和3年に斎川地区計画が策定され、白石市「人と地域が輝く未来共創交付金」を使って、地域づくりに取組むサークルが様々な活動を行っています。地域住民の有志による斎川楽しみ隊主催の「みんなで歩こう斎川のまち」という取組では、斎川地区内にある「いいもの」を知り、活用し、地域外の人にも斎川の魅力を知ってもらい、地域に関わりたいという人を増やす機会を作っています。地域住民は企画からチラシ作成やイベント運営、参加賞のバッジ作成などを行っています。
他にも地区内の乳幼児や児童の子育ての一環として、子ども達の心身の向上を目的に「キッズオリンピック」という取組を開催し、子どもや保護者の交流を図ることで子育て世代に顔の見える関係ができています。
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-他に取組まれているものがあれば教えてください。
「芸術の秋!食欲の秋!いきいき斎川スタンプラリー」という取組は、地域住民の一般公募の作品に加え、障害者施設の利用者の作品、斎川地区在住の小学生などの作品を複数の会場に分けて展示し、展示会場や地区内の協力店舗・施設でスタンプを集めることで、抽選で景品が当たるイベントです。特に障害者施設の利用者の方々は外部の人に作品を見てもらう機会が少ないため、周りの人からほめられ、自信につながるなど、地域住民との交流の場にもなっています。また、参加賞として地区内の店舗で使用できる商品券を配布しており、地区内の店舗を利用してもらうことで売り上げ向上にもつなげ、少しでも長く営業を続けられるよう応援するねらいもあります。
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-今後の展望を教えてください。
地域住民のニーズとして良く聞かれるのは高齢者の移動手段の問題です。令和2年に高齢者移送支援実験として、事業を行ったことはありましたが、様々な課題があり、移送支援事業につなげることはできませんでした。今後、地域住民や関係者の理解が得られるように準備を進めているところです。他にも空き家や空き地を有効活用し、新たな地域のコミュニティーの場を作るなどチャレンジをしていきたいと思っています。
公民館の取組は、地域住民がやりたいことを優先しており、必要であれば他の地域で行っている取組を斎川地区に合わせたやり方はないか?と考え、斎川地区オリジナルの取組を作り上げています。地域住民の方と一緒に行う福祉教育は楽しいものです。いつまでもいきいきと充実した地域のあり方をこれからも地域住民と共に考え、様々な取組を行っていきます。
<取材を終えて>
今回は白石市の斎川地区で公民館の機能をフル活用した持続可能なまちづくりを行っている斎川公民館について、御紹介しました。公民館は地域住民にとって最も身近な学習拠点というだけでなく、交流の場として重要な役割を果たしており、住民の学習ニーズや地域の実情に応じた多様な学習機会の提供が行われるものとされています。斎川公民館は、地区内の住民にアンケートを行い、地域住民の声を集めるとともに、全国的に地域活動の担い手不足と言われている中、若い世代の声を直接聞く若者会議は類を見ないものであると感じました。
斎川公民館ではホームページやSNSでイベント情報や取組の様子を情報発信しています。今回取材する中で記事にできなかった取組も多々ありますので、是非検索してみてください。
これからも各地域で行われている取組について、情報を発信していきます。
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【白石市斎川公民館に関する情報】 (2)斎川公民館Instagram |







